『ホウレンソウ』の『おひたし』 部下を抱える上司の必須スキルをご紹介!!
部下から上司にするビジネスマナー用語と言えば、「報・連・相(ほうれんそう)」を連想すると思いますが、現在では部下だけではなく、上司から部下へ気を付けたいビジネスマナー用語として「おひたし」があります。
ビジネスマナー用語「おひたし」とはいったいどういう意味や効果があるのでしょうか?
部下とのコミュニケーションに悩んでいる方は、こちらを参考にしてみて下さい。
ビジネスマナー用語の基本 報連相とおひたしとは?
「報・連・相」といえば、新入社員に仕事を教える際に古くから愛用されているビジネスマナー用語ですが、現在では「報連相」だけでは上司からの一方通行で終わってしまう と、「報連相」を支持する上司の心得として『お・ひ・た・し』で返す「ほうれんそうのおひたし」が共感を得ています。
🔍「おひたし」はどうして生まれたの?
現在では、社会人の常識として扱われる「報連相」ですが、もともとは、誰もが気軽に「報告・連絡・相談」ができる風通しの良い会社をつくるために、ある会社の社長が考えた社内向けスローガンでした。
その方が本を出版したのをきっかけに全国的に広がり、現在では、本来の目的ではない「新人の心構え」として扱われています。
本来の目的とは違うとはいえ、「報連相」に込められた意味を理解すれば欠かすことのできないビジネスマナー用語と化すのも納得がいきます。
しかし、上司から「ホウレンソウができていない」「コミュニケーション能力が低い」と言われる部下からすると、「何を報告したらいいの?」「報告してくれと言われていないのでしていない」「わからないから相談しているのに怒られる」など、「報連相」がうまく機能していないことがあります。
そんな時に、ある一社員が心掛けていること(「おひたし」)をTwitterでツイートしたところ、多くの人がこのツイートに共感し瞬く間に注目を集めました。
「ほうれんそう」には「おひたし」で返せば「報連相」が育つ、部下とより良い関係が築けると、社内の掲示板に「報連相」と「おひたし」が記載されたポスターを貼っている会社が増えています。
🔎「おひたし」の意味
そんなこんなでビジネスマナー用語と化してきた「おひたし」にはどういう意味が込められているのでしょう。
「お」:怒らない
「ひ」:否定しない
「た」:助ける
「し」:指示する
🥦【お(怒らない)】
「怒る=感情に身を任せる」行為をNGとしています。ただし、相手の為を思って注意する(しかる)ことは必要です。
🥦【ひ(否定しない)】
仕事をする上で、上司が部下の意見を否定する場面はあるものですが、そのような場合でも頭ごなしに否定するのは避け、相手の意見を受け入れてから自分の意見を伝えることを意識すると、受け手側の「否定された」というニュアンスを和らげることができます。
🥦【た(助ける)】
部下を助けることは上司の仕事の範疇内です。しかしながら、助けすぎると時と場合(相手)によっては部下の成長の妨げになってしまうこともあります。
いきなり助けるのではなく、部下が悩んだり困ったりしている時はフォローしてみましょう。部下の成長を思うのであれば、状況に最適の合いの手が打てる(助けるorフォローする)ことがベストです。
🥦【し(指示する)】
上司からの「指示がない」「曖昧な指示」という声もあるように、部下は上司からの指示を求めています。上司は当然にして、これに応える義務があります。
しかしながら、全てを支持してしまうと「指示待ち族」になりかねません。部下はまず自分で考え上司に指示を促すことが重要です。
上司としては、部下が伺いを立てやすい雰囲気を日頃から作ってあげることが大切です。
こうしてみるとやはり一方通行の報連相だけでは、上司と部下の関係性は成り立ちませんね。
上司は「報告・連絡・相談」をただやっておけばいいのではなく、部下に対して「おひたし」を心がけることで、よりよい関係が築け、問題解決や業務がスムーズに行えることになります。
ここで注意したいのは、部下の態度に問題がある場合は何がいけないのか、言い方を選び叱ることも必要ということです。
「こまつな」「きくな」「ちんげんさい」
「おひたし」以外にも、「こまつな」「きくな」「ちんげんさい」という類似のビジネスマナー用語があります。
仕事を進めていくうえでは必要なモノなのでご紹介します。
👆「こまつな」
「こまつな」とは、「こま(困ったら)、つ(使える人に)、な(投げる)」という意味で、困ったときは専門家や得意な人に助けてもらおう、という意味合いがあります。
それを専門で業務をしている人はやはり心強いもので、かなうものではありません。
困ったときは得意な人にお願いし、自分が得意なことは請け負うことで仕事を効率的に進めようということです。
これらから仕事は1人ではできないという意味も含まれています。
👆「きくな」
「きくな」とは、「き(気にせず休む)、く(苦しい時は言う)、な(なるべく無理しない)」という救済の意味を持っています。
コミュニケーションが苦手な新入社員や、言いたいことが言えない部下は、1人で我慢してしまうのが現状です。
そういったことから生まれたのが「きくな」です。
「きくな」は一見、否定的な言葉に感じますが、苦しんでいても誰にも相談できない新入社員や部下への救済メッセージなのです。
「きくな」を上司から部下・新入社員に共有できていれば、我慢し過ぎて退職、というところまでは追い込まれません。
👆「ちんげんさい」
「ちんげんさい」とは、「ち(沈黙する)、げん(限界まで言わない)、さい(最後まで我慢)」という意味があり、部下や新入社員に絶対にしてほしくないことが含まれたビジネスマナー用語です。
誰にも何にも言わず、限界まで我慢した部下や新入社員から、唐突に退職を伝えられ、鳩が豆鉄砲を食ったような状態にならないように、上司は部下が「ちんげんさい」にならないように普段から注意しておきましょう。
まとめ
現在ビジネスマナー用語は、「報連相」だけではありません。
「報連相」に「おひたし」を足すだけで、コミュニケーションが有意義なモノに生まれ変わります。
怒り、否定し、助けない、指示しない上司の下での仕事は、いろいろな問題が起こり、業務にも支障が出てくることでしょう。
「こまつな」「きくな」「ちんげんさい」と業務を遂行するためのビジネスフォロー用語も生まれました。
1人でしている仕事なら問題はないのかもしれませんが、複数の人と仕事をする上では欠かせないものと感じます。
『人の成長なくして企業の成長はなし』という言葉があるほど、部下を抱える上司の責任は大きなものです。
コミュニケーションはお酒の席だけでなく、「ほうれんそうのおひたし」で作り上げていきましょう。